2025.05.17部分矯正できない例とは?出っ歯・八重歯・すきっ歯などの判断基準と対処法
部分矯正は「前歯だけを短期間で整えたい」「装置を最小限にして費用を抑えたい」という希望に応える治療法です。
ブラケットやマウスピースを前歯部に限定することで、痛みや違和感を軽減しながら審美性を高められる点が人気の理由です。
一方で適応範囲を外れる症例に無理に導入すると、咬合バランスが悪化したり後戻りが早まったりして二度手間になります。
今回はそんな、部分矯正の基本的な仕組みと対象範囲を整理し、出っ歯・八重歯・すきっ歯・開咬など「部分矯正が難しい」と判断される主なケースを具体的に紹介します。
さらに適応外と診断された際に切り替えるべき治療選択肢、部分矯正が可能な歯並びの条件、後悔しないための医院選びのポイントまで多角的に解説します。
部分矯正とは?基本的な仕組みと特徴

部分矯正とは、歯列全体ではなく、前歯など一部の歯を対象に行う矯正治療のことです。
主に見た目の改善を目的とし、治療の範囲を限定することで、費用や期間を抑えられる点が大きな魅力です。
とはいえ、すべての症例に適応できるわけではなく、治療前にはその適応範囲をきちんと見極める必要があります。
部分矯正の定義と対象範囲
一般的に部分矯正とは、前歯6本程度に限って装置をつけ、歯の位置を整える治療を指します。
上下どちらか片方だけに行う場合もありますが、多くは審美的な理由による前歯の軽度な乱れを対象とします。
対象となるのは、歯の重なり(叢生)や、わずかなすき間(空隙)、傾きやねじれの軽微な症例です。
奥歯を含む広い範囲を動かしたり、噛み合わせそのものを変えたりすることは想定されていません。
部分矯正のメリットとデメリット
メリットは主に3つあります。1つ目は、治療期間が短く済むことです。
症例によっては、半年から1年ほどで終わる場合もあります。
2つ目は、費用が全体矯正よりも大幅に安くなる点です。
3つ目は、装置が少なくなることで、見た目への影s響や口腔内の違和感が軽減されることです。
一方でデメリットも明確です。
適応範囲が限られるため、効果が限定的になります。
また、噛み合わせや骨格に関する問題には対応できません。
無理に適応外の症例で部分矯正を行うと、かえって歯並びや噛み合わせを悪化させてしまうおそれもあります。
全体矯正との違いを理解しておこう
全体矯正は、歯列全体を動かしてバランスを整える治療です。
噛み合わせの改善や骨格との調和を重視するため、治療範囲は広く、時間も費用もかかります。
対して部分矯正は、あくまで審美性に特化した治療です。
「正面から見た印象を少し良くしたい」という希望には応えられますが、「しっかり噛めるようにしたい」「口元全体のバランスを整えたい」といった要望には不向きです。
その違いをきちんと理解した上で、治療法を選ぶことが重要です。
部分矯正できない例と判断される主なケース

部分矯正は効果的な治療である一方、適応できないケースも少なくありません。
ここでは、部分矯正では対応が難しいとされる代表的な症例について解説します。
八重歯や出っ歯など歯列不正が強い場合
八重歯とは、犬歯が歯列の外側に大きく飛び出した状態を指します。
このようなケースでは、歯を正しい位置に戻すためのスペースが必要になります。
しかし、部分矯正では奥歯の移動や抜歯を伴うスペース確保ができないため、対応が困難です。
出っ歯(上顎前突)も同様です。
前歯が突出している場合、それを後方に下げるには大臼歯を支点とした全体的な移動が必要になります。
部分矯正ではこのような大きな移動ができないため、根本的な改善は望めません。
骨格性の問題がある場合は部分矯正不可
上下の顎の大きさに差がある場合や、顎の位置に左右差がある場合は、骨格性の不正咬合と診断されます。
このような場合、歯だけを動かしても、顔のバランスや噛み合わせのズレは改善されません。
たとえば、下顎が大きく前に出ている受け口の症例では、外科的矯正を含む全体矯正が必要になります。
部分矯正で対応しようとすると、かえって歯列が崩れたり、機能面で問題が出てしまう可能性があります。
すきっ歯・開咬など噛み合わせの問題がある症例
すきっ歯は、一見すると部分矯正で簡単に改善できそうな症例に思えます。
しかし、舌癖が原因となっている場合には、治療後にすぐに元に戻ってしまうリスクが高まります。
また、空隙の量が大きい場合は、前歯だけでは閉じきれないこともあります。
開咬は、上下の前歯が接触せず、常に隙間が空いている状態です。
このような噛み合わせのズレは、上下の臼歯や顎の位置にも関係するため、部分矯正では対応できません。
開咬の治療には、奥歯の調整を含む全体的な咬合の再構築が必要です。
部分矯正できないと言われた場合の選択肢

診断の結果、部分矯正は難しいと言われたとしても、それで終わりではありません。
全体矯正や補助的な治療を組み合わせることで、理想の歯並びを目指すことは十分に可能です。
全体矯正に切り替えるべきタイミング
「前歯だけ整えればいい」と思っていたものの、スペース不足や骨格の不調和が原因で難しいと判断された場合には、早めに全体矯正を検討しましょう。
早期に方針を切り替えることで、無駄な時間やコストを減らすことができます。
無理に部分矯正を続けると、かえって後戻りや再治療につながるケースが少なくありません。
外科矯正や抜歯を伴う治療の必要性
骨格のズレが大きい場合や、重度の出っ歯・八重歯に対応するには、抜歯や顎の骨を調整する外科的治療が必要になることがあります。
これらの治療は確かにハードルが高く感じられますが、口元のラインや噛み合わせのバランスを整えるためには、非常に効果的です。長期的に見れば、機能面・審美面の両方にとって、メリットが大きい選択肢といえるでしょう。
複数の矯正歯科で診断を受ける重要性
矯正の診断は、歯科医師の経験や方針によって判断が異なることがあります。
ある医院では「無理」と言われた症例でも、別の医院では別の選択肢を提示してくれることがあります。特に境界線上の症例においては、セカンドオピニオンを受けることが重要です。
また、使用している装置の種類(インビザライン、ワイヤー矯正など)によっても対応の幅が変わることがあります。
部分矯正が可能な歯並びと適応条件

すべての症例が部分矯正の対象外というわけではありません。
以下のような条件に当てはまる方は、部分矯正によって十分に効果が得られる可能性があります。
軽度の前歯の重なりや隙間に適している
歯のねじれや軽度の重なり(叢生)が1〜2ミリ程度であれば、部分矯正での改善が見込めます。
隙間が小さいすきっ歯の場合も、舌癖がなく安定している状態であれば対象となります。
噛み合わせに影響しない前歯のみの調整奥歯の噛み合わせがしっかりしており、咬合に問題がない場合は、前歯のみを整えることで全体の印象が大きく変わります。
このようなケースでは、見た目の変化が早く、患者満足度も高い傾向があります。
歯の移動スペースが十分にあることが前提
歯を並べるためのスペースがあらかじめある、または歯と歯の間を削ってスペースを作るIPRで対応可能な場合は、部分矯正の成功率が高くなります。
一方で、スペース不足が著しい場合は、部分矯正では対応が難しくなります。
部分矯正で後悔しないために押さえておきたいこと部分矯正は手軽に見える一方、慎重な判断が必要な治療です。
治療前に確認すべきポイントを押さえておくことで、後悔のない選択ができるようになります。
歯科医院の治療実績と設備の確認が重要
部分矯正は診断力が求められる治療です。
症例数が多く、シミュレーションやCT撮影などの設備が整っている医院は、より信頼できます。
特に、矯正専門の歯科医師が在籍しているかどうかも判断材料となります。
カウンセリング時に治療の限界を確認
「ここまではできるが、ここから先はできない」という治療の限界を明確に説明してくれる医師は信頼できます。
不明確なまま進めると、想定外の結果になることもあるため、必ず納得してから治療に進むことが大切です。
費用や期間、リスクを十分に理解して選ぶ
部分矯正は安価で短期間という印象が強いですが、症例によっては追加費用や再治療が必要になることもあります。事前に総額と治療期間、後戻りリスクや再治療時の対応まで確認しておきましょう。
まとめ
部分矯正は、軽度の前歯の乱れやすき間を整えるのに適した、魅力ある治療法です。
しかし、八重歯や出っ歯、骨格性の不正咬合など、適応できない症例も少なくありません。
無理に部分矯正を行うと、見た目が改善しないばかりか、かえって噛み合わせや歯ぐきの状態を悪化させることもあります。
まずは自分の症状が本当に部分矯正で改善可能なのかを、専門医による精密診断でしっかりと見極めることが大切です。
東京湾岸エリアで矯正治療を検討している方は、実績と設備が整った海岸歯科室の無料カウンセリングで、自分に合った治療法を見つけてみてはいかがでしょうか。
監修:理事長森本哲郎


