2025.04.10インビザラインとは何か?矯正治療の種類など
矯正治療と聞くと、金属のワイヤーや長期間の通院をイメージしていませんか。そんな常識を覆すのが、近年注目されている「インビザライン」です。
「費用はどれくらい?」「装着時間はどれだけ必要?」「痛みや後戻りのリスクは?」といった疑問を感じている方も多いはず。特に治療期間や通院の頻度、アタッチメントの違和感、装置作成にかかる手間など、細かな不安は決して少なくありません。
この記事では、矯正歯科の現場でも導入が進むインビザラインの仕組みや治療の流れ、メリットとデメリット、装置の特徴、そして歯科医師による判断基準まで、専門的な観点から詳しく解説します。
インビザラインとは?初心者でも理解できるマウスピース矯正の基本概要
インビザラインの特徴と開発の歴史
インビザラインは、米国のアライン・テクノロジー社によって開発された、取り外し可能な透明マウスピース型の矯正治療です。1997年に誕生したこの治療法は、従来の金属製ワイヤーを使った矯正治療とは異なり、見た目が目立たず、衛生的で、痛みが少ないという点で注目を集め、現在では世界100か国以上で採用されています。日本国内でも需要が急増しています。
開発当初は「軽度な歯並びのズレにしか対応できない」と言われていたインビザラインですが、最新のテクノロジーと臨床データの蓄積によって、適応症例の幅は格段に広がりました。3Dスキャナーを活用した「iTero(アイテロ)」という口腔内スキャナーによって、精密な歯型の取得が可能になり、AIによる治療計画シミュレーションで、予測可能な治療結果を可視化できるようになっています。
以下は、従来の矯正治療とインビザラインの特徴をまとめた比較表です。
| 項目 | インビザライン | 従来のワイヤー矯正 |
| 見た目 | 透明で目立たない | 金属製で目立つ |
| 装着の快適性 | なめらかで違和感が少ない | 金属のため口腔内に違和感や痛みが生じやすい |
| 食事 | 取り外せるため制限なし | 固定式のため食事制限あり |
| 歯磨き・口腔衛生 | 取り外して歯磨き可能 | 装置があるため磨き残しが出やすい |
| 治療計画の可視化 | シミュレーションで事前に確認可能 | 経過を見ながら手動で微調整 |
| 適応症例の範囲 | 中程度までの不正咬合(出っ歯、受け口など) | 重度の不正咬合にも対応可能 |
| 通院回数 | 1~2カ月に1回が基本 | 1カ月に1回程度 |
また、インビザラインはアライナーと呼ばれる透明な装置を使用し、治療中でも周囲に矯正中と気づかれにくいため、社会人や接客業、芸能関係者などにも選ばれています。最近では子供向けの「インビザライン・ファースト」や、部分矯正に対応した「インビザラインGo」など、多様なパッケージが提供されています。
ワイヤー矯正との違いを技術面から比較
矯正治療にはさまざまな方法がありますが、なかでも比較されることの多いのが「ワイヤー矯正」と「インビザライン矯正」です。この2つの大きな違いは、使用する装置と治療プロセスにあります。ワイヤー矯正は金属のブラケットとワイヤーを使用して歯を引っ張り、力を加えて動かします。一方、インビザラインは薄くて透明なアライナーを一定期間ごとに交換しながら、少しずつ歯を動かしていく仕組みです。
技術面での最大の差は「治療計画と力の加え方」です。インビザラインは最初に3Dシミュレーションによって治療完了までの動きを予測し、そのデータを基に複数のアライナーを一括で作成します。そのため、治療の透明性が高く、患者自身もどのように歯が動くのかを事前に確認できます。これにより「治療期間がどれくらいかかるのか」「歯はどこまで動くのか」などの不安を払拭できます。
一方で、ワイヤー矯正は都度ドクターの判断により微調整を加えていくため、技術の熟練度によって仕上がりに差が出やすいという特徴があります。ただし、微細な歯の回転や上下方向の移動には依然としてワイヤー矯正の方が得意なケースもあり、「複雑な叢生」「重度の出っ歯」「歯の移動距離が大きい場合」には適しているとされています。
以下に、技術面での比較表を示します。
| 比較項目 | インビザライン | ワイヤー矯正 |
| 技術ベース | 3DシミュレーションによるAI主導設計 | 歯科医師の手作業による調整 |
| 歯の動かし方 | アライナーで段階的に圧力を加える | ワイヤーで連続的に引っ張る |
| 治療可視性 | 開始前からゴールまでの計画が可視化される | 都度の調整で経過を追う |
| 装置の精度 | CAD/CAM技術で個別設計されたアライナー | 製作精度は医院の技術力に左右される |
| 適応症例の対応範囲 | 軽度〜中等度の不正咬合(抜歯症例は要相談) | 軽度〜重度まで対応可能 |
インビザラインと他のマウスピース矯正との違いとは?
インビザラインGoやLiteなど種類ごとの違いと選び方
インビザラインには、治療範囲や症例の難易度に応じた複数のラインナップがあり、症例や目的に適したプランを選ぶことが治療の成功を左右します。代表的なラインナップとしては、インビザライン・フル(コンプリヘンシブ)、インビザラインGo、インビザラインLiteなどがあります。それぞれの特徴を正確に理解し、自分のニーズに合った製品を選ぶことが重要です。
インビザラインGoは、比較的軽度の歯並びの乱れに対応する治療パッケージで、主に前歯の並びや軽い叢生、空隙歯列などに用いられます。対象となる症例は限られていますが、治療期間が短く、費用も比較的安価で済むことから、20〜40代のビジネスパーソンや短期での治療を希望する方に人気です。一方、Liteは中等度の矯正に対応し、Goよりも広い範囲の症例に対応可能です。複雑な症例には向かないものの、目立たない矯正を希望する人にとってバランスの取れた選択肢です。
さらに、インビザラインの選択肢には、追加アライナーの提供や後戻り対策の保定装置(リテーナー)費用が含まれていることが多く、トータルで考えると費用対効果が高いと評価されることも少なくありません。
しかし、GoやLiteには症例の適用制限があるため、すべての人に適しているわけではありません。過去に「Goを選んだが再治療が必要になった」「Liteでは希望する仕上がりにならなかった」などのレビューもあり、歯科医師による精密検査とカウンセリングを経た上での選定が不可欠です。
また、診断には3Dスキャナーを活用したシミュレーションが行われ、治療開始前に歯の動きや期間が可視化されるため、納得感のある選択が可能です。アライン・テクノロジー社による正規のインビザラインシステムを導入している医院では、一定の教育を受けた認定医師が診療を担当しており、トラブル対応や治療の中断リスクも抑えられる傾向にあります。
他メーカー(クリアコレクト・キレイラインなど)との比較表付き解説
現在、日本国内にはインビザライン以外にも複数のマウスピース矯正サービスが存在しています。なかでも注目されるのが、ストローマン社が提供するクリアコレクトや、日本独自展開のキレイライン矯正です。いずれもマウスピースを用いた矯正治療を行いますが、装置の精度、対応症例、価格、サポート体制などに大きな違いがあります。
まず、技術的な面で比較すると、インビザラインは全世界で累計1400万人以上が利用しており、アライン社の膨大なビッグデータとAI技術を活用したシミュレーション技術が強みです。これにより、複雑な歯列移動にも対応可能で、他社と比較して精度が非常に高いとされています。
対してクリアコレクトは、ストローマン社が展開する矯正ブランドで、ヨーロッパやアメリカでの導入実績があります。アタッチメントの自由度や、歯列移動計画のカスタマイズ性に優れていますが、日本での導入実績はインビザラインに比べて限定的です。一方、キレイライン矯正は主に前歯の部分矯正に特化しており、低価格・短期間での治療が可能という利点があります。ただし、全体の咬合や噛み合わせの調整までは対応できないため、後戻りや不正咬合が再発するリスクも考慮すべきです。
以下に主要3社の比較をまとめます。
| 製品名 | 対応症例 | 費用相場 | 治療期間 | 特徴 | デメリット |
| インビザライン | 軽度〜重度の全体矯正まで対応 | 約60〜120万円 | 6〜24カ月 | 高精度な3D計画・全顎矯正可 | 費用が高め |
| クリアコレクト | 軽〜中等度の矯正(全体対応あり) | 約40〜90万円 | 6〜18カ月 | カスタマイズ性高く欧米での実績豊富 | 日本での導入医院が少ない |
| キレイライン矯正 | 前歯の軽度矯正に特化 | 約10〜30万円 | 約3〜6カ月 | 費用が安く短期完結型 | 対応症例が限定され再治療リスクあり |
読者が特に気になるのは「費用対効果」と「治療後の仕上がりの安定性」です。その点でインビザラインは高価ではあるものの、後戻りを防ぐリテーナーやサポート制度の充実度もあり、総合的な満足度が高い傾向にあります。
また、公式アプリやクラウドシステムを通じて進捗確認ができる点や、精密検査をもとにした治療の可視化機能などもあり、安心して治療を進められるのも大きな魅力です。患者の症例に応じて、通院頻度や装着時間の指導が細かく設定されるため、自己管理が苦手な人でも取り組みやすい工夫が施されています。
インビザラインのメリットとデメリットを本音で解説
メリット
マウスピース矯正の代表格として知られるインビザラインは、従来のワイヤー矯正とは異なり「目立ちにくさ」と「生活へのなじみやすさ」で高く評価されています。透明なアライナーを使用するため、矯正治療中であることが他人に気づかれにくく、審美性を気にする方にとって大きなメリットがあります。また、食事や歯磨きの際に取り外しが可能なことから、ライフスタイルの自由度が高く、日常生活への支障を最小限に抑えることができます。
多くの患者が気にする「痛み」に関しても、インビザラインは従来の金属ブラケット矯正と比較して負担が軽減されています。歯の動きは段階的かつ緩やかに設計されており、痛みや違和感が最小限に抑えられています。特に、インビザライン矯正ではアタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯に装着することで、力のかかり方を細かく調整しながら矯正を進める点が特徴です。
一方で、共起語のひとつである「抜歯」についても、軽度の歯列不正であれば抜歯を伴わないケースが多く、患者の身体的負担を軽減する治療方針が取られています。重度の叢生や噛み合わせの不正がある場合には抜歯が必要となることもありますが、事前に精密検査を行い適用範囲が明確に示されます。
さらに、治療期間に関しても、症例によっては従来のワイヤー矯正よりも短期間で終了するケースがあります。特に前歯の軽度なズレなどは、半年〜1年ほどで改善される例もあり、社会人や短期間での治療を希望する方に支持されています。
以下は、インビザラインの代表的なメリットを項目別に整理したテーブルです。
| メリット項目 | 内容 |
| 審美性 | 透明アライナーで目立たず、会話や写真でも自然な印象を保てる |
| 痛みの少なさ | 緩やかな歯の移動設計により、ワイヤー矯正に比べて痛みが軽減される |
| 取り外し可能 | 食事や歯磨きの際に外せるため、口腔内の清潔を保ちやすい |
| 金属アレルギーのリスクなし | 金属を使用しないため、アレルギー反応を引き起こす心配がない |
| 生活への支障が少ない | 噛み合わせの調整が自然で、発音障害や口内炎のリスクが低い |
また、インビザライン矯正は通院の頻度も少なくて済む点も見逃せません。従来の矯正装置では月1回以上の調整が必要ですが、インビザラインでは1.5〜2カ月に一度のチェックで済むケースも多く、忙しい社会人や育児中の方から高い評価を得ています。
デメリット
一見すると利点ばかりに見えるインビザライン矯正ですが、実際にはいくつかの制約やデメリットも存在します。その筆頭が「自己管理の難しさ」です。インビザラインは患者自身で取り外しができる装置であるため、推奨されている1日20〜22時間という装着時間を守らなければ治療効果が低下し、結果として治療期間が延びたり、予定通りに歯が動かないことがあります。
特に中高生や多忙な社会人の場合、アライナーの着脱を忘れたり、紛失してしまうリスクが高くなるため、装着時間の自己管理が徹底できない方には不向きな側面もあります。以下に、よくある装着に関するトラブルをリスト化します。
- アライナーの紛失や破損
- 装着時間が足りずに歯の移動が遅れる
- 飲食時に外し忘れて変形
- 装着忘れによる治療計画の再構築
さらに、全ての症例に対してインビザラインが適応できるわけではありません。出っ歯や開咬、重度の叢生など、歯の移動が大きく必要な症例については、ワイヤー矯正や外科的矯正との併用が必要とされるケースもあります。これはインビザラインが歯の移動力に限界があるためであり、無理な治療計画を進めると、後戻りや噛み合わせ不全といった深刻なトラブルにつながる可能性があります。
また、治療中に発生する微細な問題、例えばアタッチメントの外れやアライナーの変形などを「自己判断」で放置してしまう患者も少なくありません。これは治療の質を大きく下げる要因となるため、常に医師との連携を取りながら進める姿勢が求められます。
以下は、インビザラインのデメリットとその対応策を整理したテーブルです。
| デメリット項目 | 内容 | 推奨される対応策 |
| 装着時間管理の難しさ | 1日20〜22時間の装着が求められ、管理が難しい | スマホアプリでの装着時間管理を活用 |
| アライナーの紛失や破損 | 着脱時に紛失・破損するリスクがある | 必要に応じて追加作成・予備アライナーの保管 |
| 適応外の症例がある | 重度の叢生・骨格性出っ歯・顎変形症には不適応の可能性 | 初診時の精密検査で適応症例かどうかを判断 |
| 自己判断による治療中断や変更 | 問題が起きた際に自己判断で放置すると治療が失敗に終わることも | 問題発生時はすぐに通院・医師に連絡 |
| 経済的なコスト | 費用が高額で保険適用外であるケースが多い | 複数医院でのカウンセリング・費用比較が重要 |
インビザラインの料金の違い比較
インビザラインの料金相場と費用に含まれる内容
インビザライン矯正を検討する際に多くの人が気になるのが「費用はどれくらいかかるのか」という点です。実際には「料金」と「費用」は似ているようで異なる概念です。料金は提示される価格のことで、費用は治療の全体にかかる実質の支出を意味します。ここではその内訳を丁寧に解説し、どこまでが含まれ、どこからが追加なのかを明らかにしていきます。
まず、インビザラインの基本料金は医院ごとに異なりますが、フル矯正の場合は約80万円から110万円が相場です。この中には、初回のカウンセリング、精密検査、3Dシミュレーション、アライナー(透明マウスピース)の作成、定期通院の一部が含まれることが多いです。しかし、医院によっては、これらが別途費用として扱われることもあります。
また、次のような追加費用が発生するケースもあります。
- アライナーの再作成(破損・紛失時や治療計画の変更時)
- アタッチメントの装着・再調整
- 通院ごとの診察料(数千円程度)
- 治療後の保定装置(リテーナー)
- 保定期間中のメンテナンス費用
- オプションでのホワイトニング処置や虫歯治療
これらを含めると、実質的な総費用は120万円を超えることもあります。インビザラインにはGo、Lite、Expressなどの種類がありますが、それぞれ費用にも大きな差があります。
注意したいのは、医院によってこの「含まれる項目」が異なる点です。「トータルフィー制」と「都度払い制」でも総額が変わるため、見積時には必ず確認が必要です。
また、矯正を検討している方が抱えやすい疑問として次のようなものがあります。
- 精密検査費用は別途必要?
- 治療途中で費用が増えるケースとは?
- 通院は月に何回くらいで、都度料金がかかるの?
- 保定装置は無料で付いてくるの?
- アライナーが破損したら追加料金が発生する?
これらの点に関しては、事前のカウンセリングで丁寧に説明してくれるクリニックを選ぶことが重要です。無料カウンセリングを実施している医院も多いため、初期段階で疑問を解消しておくと安心です。
大人/子供/部分矯正の費用比較表
インビザラインは年齢や治療目的によって料金に大きな違いがあります。子どもの矯正は成長段階に合わせた計画が必要であり、また部分矯正は限定的な範囲にとどまるため比較的安価です。ここでは大人・子供・部分矯正のそれぞれの費用と内容を比較し、検討の参考となるように詳しく解説します。
年齢や治療目的によって、治療の期間、アライナーの枚数、対応する症例が異なります。その結果、総額にも大きな開きが出てくるのです。次のテーブルに、主な治療タイプごとの違いをまとめます。
| 分類 | 費用相場(税込) | 対応症例 | 治療期間目安 | 特徴 |
| 大人(全体) | 80万〜110万円 | 中等度〜重度の歯列不正 | 12〜24ヶ月 | 治療期間長め、抜歯・非抜歯対応可能 |
| 子供(ファースト) | 35万〜50万円 | 発育段階の骨格改善 | 6〜18ヶ月 | 成長を利用した矯正、アプリ併用 |
| 部分矯正(前歯のみ) | 20万〜50万円 | 軽度の前歯の歯列不正 | 3〜10ヶ月 | 対応範囲限定、コストパフォーマンス高 |
部分矯正は「前歯のみを治したい」「結婚式や面接の前に整えたい」といったニーズに応えやすく、短期間・低価格で治療可能です。一方で、適応できる症例が限られるため、事前に診断を受ける必要があります。
また、小児矯正で使用される「インビザライン・ファースト」は、永久歯が生えそろう前からの矯正が可能であり、将来的な本格矯正の期間や費用を抑えることができる点も注目されています。成長期の子どもには、骨格にアプローチすることで、受け口・出っ歯・叢生(がたがたな歯並び)などの予防にもつながります。
検討段階でのチェックポイントとして、以下のような疑問も生じやすいため、事前に整理しておくと良いでしょう。
- 子供の矯正でもインビザラインは適用可能?
- 前歯のみでも矯正効果は持続するの?
- 途中で治療範囲を広げることはできる?
- 部分矯正にアフターサポートはある?
- 思春期の子どもに矯正を始める最適な時期は?
インビザラインができない人と症例とは?
適応外になる症例とは?(重度出っ歯・開咬・顎変形症など)
インビザライン矯正は多くの歯並びに対応可能な先進的な治療法ですが、すべての症例に適しているわけではありません。特に重度の出っ歯(上顎前突)や開咬(上下の歯が噛み合わない状態)、顎変形症などの骨格性の問題を伴う症例は、インビザライン単体では対応が難しいとされています。
適応外となるケースを正しく理解することは、後悔しない治療選択につながります。以下に、インビザラインで治療が難しい主な症例を詳しく解説します。
1. 重度の出っ歯や受け口(上顎前突・下顎前突)
出っ歯や受け口は、歯の位置だけでなく、上下の顎骨の位置関係によって起こることが多く、インビザラインでは歯の移動には対応できても、骨格自体の改善までは行えません。特に重度の出っ歯の場合、歯の角度や前突量の大きさによっては、インビザラインでは歯を理想の位置まで下げるのが困難です。
2. 顎変形症・骨格性不正咬合
顎変形症とは、顎の骨の形状や大きさに異常がある状態で、見た目や噛み合わせに大きな影響を与える疾患です。インビザラインは歯列の調整には非常に優れていますが、外科手術が必要なレベルの顎の位置異常には対応できません。こうしたケースでは、外科的矯正(サージェリーファースト)と併用する必要があります。
3. 開咬(オープンバイト)
開咬とは、奥歯を噛み合わせた際に前歯が接触しない状態です。軽度であればインビザラインで改善できるケースもありますが、舌癖や骨格の影響が強い場合には再発のリスクもあるため、MFT(口腔筋機能療法)などと併用した多角的な対応が求められます。
4. 重度の叢生(歯が重なり合っている状態)
歯列が極端に乱れている叢生では、アライナーが正確にフィットしない可能性があります。抜歯が必要となるようなスペース不足のケースでは、インビザラインのコントロールには限界があるとされます。
5. 顎の成長期にある子ども
成長途中の小児に対しては、インビザラインファーストという専用の製品があるものの、顎の成長を見極めながらの治療となるため、症例によってはワイヤー矯正の方が適している場合もあります。
以下に、インビザラインが適応できないことが多い代表的な症例と理由をまとめた表を掲載します。
| 症例 | 適応困難な理由 | 代替方法 |
| 重度の出っ歯 | 骨格の位置異常が強い | ワイヤー矯正+外科手術 |
| 開咬(重度) | 舌癖や骨格性の影響 | MFT+ワイヤー矯正 |
| 顎変形症 | 骨格自体の異常 | 外科矯正治療 |
| 重度叢生 | アライナーがフィットしない | 抜歯+ワイヤー矯正 |
| 下顎前突(受け口) | 骨格性問題が多い | 外科手術併用矯正 |
治療計画の初期段階でこれらの条件を把握するためにも、事前の精密検査と専門医の診断は極めて重要です。「インビザラインができない症例」と言われた場合でも、それが一時的なものなのか、別の方法で改善可能かを多角的に検討する必要があります。自分に合った治療を見極めるためにも、専門クリニックでの相談を積極的に行いましょう。
なぜできないと判断されるのか?検査でわかること
インビザライン矯正において「治療できない」と判断される主な理由は、治療前に行う精密検査によって把握されます。この検査では、歯並びだけでなく、骨格の状態、噛み合わせのズレ、口腔筋の動き、歯根の形や長さなど、あらゆる要素を総合的に確認する必要があります。インビザラインは高度な3Dシミュレーション技術を用いた治療計画が可能ですが、それを最大限に活用するには、正確な診断が不可欠です。
精密検査で行われる主な検査内容と確認項目
| 検査項目 | 内容 | 判断できること |
| パノラマX線撮影 | 口全体の骨格・歯根の状態を確認 | 歯の本数、虫歯、歯周病、親知らずの位置 |
| セファロ分析 | 頭部の骨格構造を撮影 | 骨格性不正咬合の有無、出っ歯・受け口の度合い |
| デジタルスキャン | 口腔内の形状を立体データ化 | 歯列の乱れ、スペース不足、アタッチメントの必要性 |
| 咬合検査 | 噛み合わせのズレや咀嚼時の力のかかり方を確認 | 開咬・交叉咬合などの有無 |
| 顎関節検査 | 関節の動きや音の有無を確認 | 顎関節症や筋肉の過緊張の兆候 |
これらの検査結果をもとに、矯正歯科医は「インビザラインで安全かつ確実に歯を動かせるかどうか」を総合的に評価します。例えば、歯根が極端に短い場合、マウスピース矯正による圧力で歯が動きにくく、歯の寿命に悪影響を与える可能性があるため、治療が見送られることもあります。
診断時にチェックされる代表的な不適応要因
- 骨格性のズレが大きい インビザラインでは歯の移動は可能でも、骨格そのものの大きなズレは修正できません。特に上顎前突や下顎前突では、外科的な対応が必要なことがあります。
- 奥歯の噛み合わせに大きなズレがある 開咬や交叉咬合(クロスバイト)など、奥歯のかみ合わせに問題があると、マウスピースだけでは咀嚼機能の正常化が難しいケースがあります。
- アライナーの固定が困難 歯の形状やアタッチメントがつけられない位置に問題があると、アライナーの固定力が弱くなり、治療の精度が保てません。
- 歯の移動量が非常に大きい 数ミリ程度の移動であれば十分可能ですが、インビザラインでは移動量に限界があります。前歯を大きく後方へ下げたい、左右の大幅な移動を求めるなどの場合は、ワイヤー矯正の方が適しています。
- 重度の虫歯や歯周病がある 歯を支える骨や歯ぐきが不安定だと、矯正による歯の移動が困難です。インビザライン治療を開始する前に、虫歯・歯周病の治療が優先されます。
まとめ
インビザラインは、見た目に配慮した矯正方法として多くの支持を集めています。透明なマウスピース型装置を使用し、従来のワイヤー矯正よりも自然で快適な治療が可能な点が最大の特徴です。また、装着時間の管理やアライナーの交換など、患者の主体的な管理が求められる反面、取り外しができる自由度の高さは生活に大きなメリットをもたらします。
この記事では、インビザラインの仕組みから、治療可能な症例とできない症例の違い、さらに適応判断のための精密検査の重要性までを詳しく解説しました。特に重度の出っ歯や顎の骨格に問題があるケース、開咬や受け口などの複雑な症例では、インビザライン単独では対応が難しい可能性があります。しかし、ワイヤー矯正や外科的治療と組み合わせることで選択肢が広がる点は、希望を持てるポイントです。
また、インビザラインは一見シンプルな治療に見えても、症例ごとの適応判断には高度な歯科医師の診断力と経験が不可欠です。治療計画の立案には3DシミュレーションやCTスキャン、口腔内スキャンなどの精密なデータ収集が行われ、個別に作成されたアライナーが患者ごとの歯列に合わせて用意されます。
「自分には無理かもしれない」と思っていた方でも、他の治療法との併用や専門医との連携により、矯正の可能性を諦める必要はありません。歯並びに悩むすべての方にとって、治療の選択肢を広げる第一歩が、正しい情報を知ることです。信頼できる歯科医師のもとで精密な診断を受け、自分に最適な矯正方法を見つけてください。放置すれば、将来的に治療費や健康面での損失が広がることもあるからこそ、今こそ真剣に考える価値があります。
よくある質問
Q. インビザラインはどんな歯並びでも治療できますか?重度の出っ歯や叢生も対応可能ですか?
A. インビザラインは多くの症例に対応できる矯正方法ですが、重度の出っ歯や顎の骨格に問題がある症例、開咬や受け口、叢生が激しいケースなどは「適応外」と判断されることもあります。特に外科手術が必要な顎変形症や、大きなスペース移動を必要とする症例ではワイヤー矯正の併用や別の治療法を提案されることもあります。事前の精密検査や3Dシミュレーションによる歯列データの分析によって、適応可否を専門医が判断します。
Q. インビザラインはどのくらいの期間で治療が終わりますか?早く終わらせる方法はありますか?
A. 一般的なインビザライン矯正の治療期間は6カ月から24カ月が目安です。軽度の歯並びであれば半年程度で完了することもありますが、噛み合わせの調整や抜歯を伴うケース、複雑な症例では2年以上かかる場合もあります。治療期間を短縮するには、決められた1日20時間以上の装着時間を厳守することが非常に重要です。さらに、マウスピースの交換スケジュールに忠実であること、通院でのチェックを怠らないことも、治療のスピードと効果に直結します。
Q. インビザラインと他社のマウスピース矯正との違いは何ですか?価格や対応範囲で選ぶべきでしょうか?
A. インビザラインはアラインテクノロジー社が提供する世界的に信頼される矯正システムで、独自のアライナー技術と症例データベースにより複雑な歯列にも対応できます。他社製品との大きな違いは、精密な3Dシミュレーションによる治療計画と、口腔内スキャンデータに基づく高精度なマウスピース作成です。たとえば、キレイライン矯正は価格が10万円から30万円台と低価格帯ですが、症例が限定的です。費用だけでなく、対応可能な症状や医師のフォロー体制、通院頻度、技術サポートの有無まで比較することが後悔しない矯正選びのポイントです。
医院概要
医院名・・・海岸歯科室 CHIBA STATION
所在地・・・〒260-0031 千葉県千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉6F
電話番号・・・0120-087-318


