2025.04.03インプラント分野におけるペクトン素材の衝撃吸収と審美性とは?補綴に選ばれる理由
インプラントの素材に迷っていませんか。金属の被せ物で見た目が気になったり、チタン製の補綴物で違和感を覚えた経験がある方もいるかもしれません。とくに金属アレルギーを抱える方にとって、インプラント治療は慎重な素材選びが欠かせません。
近年、歯科補綴の分野で注目を集めているのがペクトンという非金属素材です。この素材は、骨と近い弾性をもち、衝撃吸収性に優れています。ショックアブソーバー機能を備え、噛み合わせのストレスを和らげながら、生体親和性も高く、医療現場での信頼を集めています。人工関節などの分野でも活用されている実績があるため、安全性や耐久性にも一定の評価があるのが特徴です。
ペクトンはアイボリー調の自然な色合いで審美性にも優れ、透明感を活かしたセラミックの被せ物との相性も良好です。加工の自由度も高く、CAD/CAMを活用した精密な補綴設計にも対応できるため、多くの技工所が導入を進めています。ジルコニアやチタンに代わる次世代の補綴材料として、選択肢に入れる患者や歯科医院が増えているのも納得です。
もし、これまで金属の硬さに違和感を覚えたことがあるなら。あるいは「見た目」や「心地よさ」に妥協したくないと考えているなら、ペクトンは新たな選択肢になり得ます。補綴治療の素材選びに迷っているなら、この新しいマテリアルの魅力を知っておいて損はありません。
ペクトンとは何か?素材の正体と誕生背景
ペクトンの正式名称「PEKKTON」とは
PEKKTONという名称は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)という素材を基にして開発された高性能ポリマーを指します。PEEKは、非常に優れた強度、耐熱性、化学的安定性を有する素材であり、これをさらに改良したPEKKTONは、医療分野でも特に注目されています。PEKKTONは、歯科治療においては特に歯科インプラントや補綴物、ファイバーコアなどに使用されています。
PEKKTONは、PEEKと同様に非常に耐久性が高く、人体に対する親和性も優れていますが、さらに優れた加工性を持っており、複雑な形状に対応できる点が特徴です。このような特性により、PEKKTONはインプラント素材として非常に効果的であり、長期間使用しても安定した性能を発揮することができます。PEKKTONは、生体に優しく、金属アレルギーを避けることができるため、金属インプラントに対してアレルギー反応が起きやすい患者にとって理想的な選択肢となっています。
インプラント素材としてのペクトンの特徴
ショックアブソーバー機能と生体親和性
ペクトン(PEKKTON)は、従来の金属やセラミック素材と一線を画す「生体親和性」と「衝撃吸収性」を兼ね備えた高性能ポリマーであり、インプラント補綴における革新的な素材として注目されています。インプラント治療においては、単に硬さや耐久性だけでなく、骨や周囲組織との調和、そして長期的な快適性が求められます。その点において、ペクトンの特性は極めて優れており、多くの歯科医師・技工士から支持を集めています。
まず注目すべきは、ペクトンの弾性係数が骨に極めて近いという点です。弾性係数とは、素材がどれほど柔軟か、または剛性があるかを示す指標で、咀嚼などによってかかる圧力をどのように伝えるかに関わってきます。
ペクトンの弾性係数は天然の皮質骨に非常に近く、咬合時に加わる応力を緩やかに分散するショックアブソーバーとしての機能を持っています。この機能により、骨への負担が軽減され、インプラント周囲の骨吸収リスクが抑えられることが明らかになっています。チタンやジルコニアのように硬すぎる素材では、応力が集中しやすく、長期的にはインプラントの脱落や周囲炎を引き起こす可能性があるのです。
次に、生体親和性に関するペクトンの利点を見ていきましょう。ペクトンは非金属素材でありながら、長年にわたり医療分野で実績のあるPEEK系高分子を基礎に開発されており、すでに人工関節や骨固定プレートなどの分野でも応用されています。この背景から、体内での安全性や異物反応のリスクが極めて低く、金属アレルギーの心配がないのはもちろん、組織との接触においても異常な炎症や免疫反応を引き起こしにくい特性を持ちます。
生体内環境においても安定性が高く、酸やアルカリ、口腔内の酵素などに対しても優れた耐性を示すため、長期使用にも耐える安定したマテリアルと評価されています。これは、補綴物として使用するうえで非常に重要な特性です。
ペクトンの表面は滑らかでプラークが付着しにくく、表面研磨の加工性にも優れているため、歯周病リスクの低減にも寄与します。細菌の付着やバイオフィルムの形成を抑えやすく、インプラントの長期安定性にもつながります。口腔内での快適性も高く、軽量かつしなやかな質感により、「装着していることを忘れる」ような自然な使用感が得られる点でも、患者の満足度は高い傾向にあります。
このように、ペクトンはショックアブソーバー機能と生体親和性という2つの要素において、既存素材にはない理想的なバランスを実現しています。歯科医院の補綴戦略としても、患者の生活の質(QOL)を長期にわたって高める選択肢として、ペクトンの導入は極めて有効です。骨質の弱い高齢者や金属アレルギーの既往歴がある方へのインプラント治療において、ペクトンは第一候補になり得るでしょう。
インプラント上部構造に使われる主な素材の物性比較
ペクトンの引張強度は他素材に比べて低めではありますが、臨床的には十分な耐久性を備えており、特に「破折靱性(fracture toughness)」の高さが注目されています。これは、力が加わったときに亀裂が広がりにくいという性質を指し、破折リスクを大幅に軽減する重要な要素です。ジルコニアのようなセラミック素材は硬くて丈夫ですが、局所的な衝撃に弱く、欠けやすいという欠点があるのに対し、ペクトンは柔軟性を活かして応力を分散させる特性があります。
ペクトンは軽量であるという点も患者にとってメリットです。装着時の違和感や負担が少なく、特に複数歯にわたる補綴装置を装着するケースでは、その軽さが快適性につながります。実際に、咬合面にかかる衝撃を優しく吸収し、骨やアバットメントにかかるストレスを分散させるため、長期的なインプラントの安定にも好影響を与えています。
ペクトンは加工性に優れ、CAD/CAMによる精密な加工が可能です。これにより、補綴物のフィット感が高まり、歯科医院や技工所にとっても扱いやすい素材として普及が進んでいます。
ペクトンの耐久性と強度に対する理解は、従来素材の「強度一辺倒」な評価軸を見直す契機となっています。単なる「硬さ」や「引張強度」だけではなく、破折耐性や弾性、衝撃吸収性といった“臨床上のリアルな性能”にこそ価値がある時代において、ペクトンは理想的な素材の一つといえるでしょう。現代の歯科治療において、患者の快適性と長期的な予後を両立させる素材として、ペクトンが果たす役割は今後ますます大きくなることが予想されます。
金属アレルギー対策としての有用性
インプラント治療を希望する患者の中には、「金属アレルギー」のリスクを理由に治療をためらう方が少なくありません。従来のインプラント補綴では、チタンやコバルトクロムなどの金属素材が主流でしたが、これらの金属は体質によってアレルギー反応を引き起こす可能性があり、実際に皮膚のかぶれ、舌や口腔粘膜の違和感、長期的な炎症などを訴えるケースも報告されています。そうした背景の中で、ペクトンは金属を一切含まない非金属系素材として、安全性の高い代替選択肢として注目されています。
ペクトン(PEKKTON)は、高性能ポリマーに分類され、金属を全く含まずに設計されている点が大きな特徴です。そのため、金属アレルギーの原因となるニッケルやクロム、パラジウムといったアレルゲンとの接触を完全に回避できるというメリットがあります。すでに皮膚科や内科で金属アレルギーと診断されている患者でも、ペクトンを使用した補綴治療でアレルギー症状が出たという報告は極めて少なく、高い生体適合性が実証されています。
以下に、主な補綴素材と金属アレルギーリスクを比較した表を示します。
補綴素材と金属アレルギーリスクの比較
| 補綴素材 | 金属含有 | アレルギーリスク | コメント |
| ペクトン | 含まず | 極めて低い | 完全非金属素材で、金属アレルゲンを含まない |
| チタン | 含む(純チタン) | 低め | 一般的には安全だが、まれに過敏症の報告あり |
| コバルトクロム | 含む | 中〜高 | ニッケルやクロム含有により、アレルギーを起こす可能性あり |
| ジルコニア | 含まず(セラミック) | 低め | 金属ではないが、硬質で加工性や衝撃吸収性に課題あり |
このように、ペクトンは金属成分を含まないという物理的特性により、アレルギーの原因を物理的に排除するという明確な利点があります。特に金属アレルギーを持つ患者の場合、インプラントの土台となるアバットメントから被せ物のコアに至るまで、金属が露出しない構造を採用することで、アレルギーの根本的な不安を取り除くことが可能です。
金属アレルギーは発症していなくても、今後の生活環境や加齢によって体質が変わることで突然発症するリスクも存在します。つまり、現在アレルギーの自覚がない人であっても、将来的な健康リスクに備える意味でも、ペクトンを選択する意義は高いといえるでしょう。
近年では、金属アレルギーに悩む患者向けに、歯科医院が積極的にパッチテストや血液検査を行うケースも増えていますが、診断が難しいグレーゾーンの患者に対しても、非金属素材であるペクトンを採用することで、安心して治療に踏み切れる環境が整います。
症例ベースでも、ペクトンを使用することで口腔内の不快感が軽減されたり、被せ物の周囲に慢性的な炎症が出なくなったりするなど、臨床的なメリットが複数確認されています。とくに、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の既往がある患者においては、金属素材の使用で症状が悪化することもあるため、初期段階からペクトンを選択肢に含めることが重要です。
ペクトンは加工性にも優れ、歯科技工所でも対応可能な技術が確立されており、患者一人ひとりの口腔状態や咬合様式に応じたカスタムメイドが可能です。これは、金属フレームでは難しい微細な設計にも対応でき、快適性と機能性の両立が図られる点でも優れています。
このように、ペクトンは単に金属を使わないというだけでなく、アレルギーの不安を根本から取り除き、臨床的にも高いパフォーマンスを発揮する素材です。特に金属アレルギーを懸念する患者にとって、最も安心して選べる補綴素材の一つであることは間違いありません。
見た目の美しさを支える審美性
インプラント治療において、見た目の美しさは機能性と並んで非常に重要な要素です。特に前歯など審美領域と呼ばれる部分では、「いかに天然歯のように自然に見せるか」が治療の成功を左右します。この点で、ペクトンはこれまでの補綴素材にはない高い審美性を備えているとして注目を集めています。
ペクトンは、アイボリー系の柔らかな色調を持ち、光の透過性に優れているため、歯肉や口腔内の自然な色味とよく調和します。特に従来の金属製コアと比較した際に顕著なのが、金属色の透け出しや暗さを感じさせないという点です。ジルコニアも白い素材として知られていますが、白さが強すぎて逆に人工的に見える場合があります。ペクトンはその点、適度にやわらかく、自然な色味を持つため、光の反射や屈折の仕方が天然歯に近い印象を与えるのです。
以下は、主な補綴素材の審美性に関する比較をまとめた表です。
インプラント補綴素材の審美性比較
| 素材 | 色調 | 光の透過性 | 審美性の特徴 |
| ペクトン | アイボリー | 高い | 自然な色合いと透け感で歯肉とのなじみが良い |
| チタン | グレー | 透過性なし | 色調の透け出しにより歯肉や被せ物が暗く見える場合あり |
| ジルコニア | 真っ白 | 低〜中 | 非常に白く透明感に欠けるが、光沢と強度は優れている |
| セラミック | 歯に近い白 | 中 | 上部素材としての審美性は高いが、コアの色の影響を受けやすい |
ペクトンのもう一つの利点は、歯肉との境界が自然に見えることです。金属製の土台では、時間の経過とともに歯肉のラインが下がり、黒っぽい金属が見えてくる「ブラックマージン」のリスクがありました。ペクトンは非金属でありながら歯肉との親和性が高く、審美性を長期的に維持できることが臨床的にも評価されています。
審美性の高い治療では上部構造(クラウン)にオールセラミックを使用することが多いですが、セラミックの下地となる土台(コア)に金属が使われると、光の透過が妨げられ、白いはずのクラウンがグレーがかって見えることがあります。これに対しペクトンは、光を透過しやすい素材であり、セラミックの本来の色調をそのまま引き出せるため、全体の透明感や清潔感を損なうことがありません。
ペクトンは補綴物の内面設計が自由度高く行えるため、歯科医師と技工士による精密な色調再現が可能です。患者ごとの歯の色や歯肉の状態に応じて、より自然で違和感のない仕上がりを実現できます。これは「見た目」に強いこだわりを持つ方にとって、大きな魅力といえるでしょう。
審美性を求める患者の多くが感じる疑問としては、次のようなものがあります。
- インプラントの被せ物が他の歯と色が違って見えるのでは?
- 時間が経つと歯肉の変色や金属の露出が目立たないか?
- 審美性を重視すると強度や耐久性が下がらないか?
ペクトンはこれらの懸念を、審美性と機能性のバランスで解決できる稀有な素材です。長期的に安定した色調を保ちたい方、見た目の清潔感や美しさを追求する方にとって、非常に適した素材だといえます。
総じて、ペクトンは審美領域において、単なる「非金属素材」という枠を超え、天然歯の再現性や審美的完成度を飛躍的に高めるための次世代マテリアルとしての地位を確立しつつあります。歯科治療における「見た目の満足度」を追求する上で、これからの時代に欠かせない選択肢となるでしょう。
ペクトンコアとは?補綴治療での役割と機能
ペクトンコアとファイバーコアの違い
ペクトンコアとファイバーコアは、どちらも歯の土台材料として補綴治療に用いられる非金属の素材ですが、それぞれの用途や特性には明確な違いがあります。両者とも金属アレルギーに対応し、審美性の高い補綴治療を可能にしますが、物性や加工性、生体親和性、そして臨床応用の幅に違いがあるため、患者の状態や症例に応じた適切な選択が求められます。
ペクトンコアとは、高性能ポリマー「PEKKTON(ペクトン)」を使用した補綴用土台です。この素材は、PEEKをベースにしたPEKK系の進化系マテリアルであり、骨に近い弾性係数を持ち、衝撃吸収性にも優れています。一方、ファイバーコアは、ガラス繊維をレジンマトリックスで包んだ素材で、ある程度の柔軟性と審美性を持つ点が評価されています。
ペクトンコアは咬合力が強くかかる大臼歯部やインプラント支台部への応用に適しており、特に破折リスクが高い症例において効果を発揮します。対してファイバーコアは、審美領域や咬合圧の低い部位において十分な効果を発揮し、費用面でも患者に優しい選択肢です。
選択のポイントは以下のように整理できます。
- 咬合力が強い部位にはペクトンコア
- 見た目とコスト重視ならファイバーコア
- インプラント補綴の場合はペクトンコアが優位
- CAD/CAMによる精密な補綴設計を求める場合はペクトンコア
補綴治療においては、単なる素材選定ではなく、患者の咀嚼パターン、咬合圧、金属アレルギーの有無、見た目へのこだわりなど多角的な要素を考慮した選択が不可欠です。
治療計画の段階でペクトンコアを選ぶことで、将来的な補綴トラブルの回避や再治療リスクの低減に繋がります。技術の進化に伴い、より高度な素材選定が可能となった現在、医療側の説明責任もより重視されています。
ペクトンコアは、今後の補綴治療のスタンダードを変える可能性を秘めた革新的マテリアルとして、歯科界でも注目を集めています。
被せ物(土台)としてのメリット
ペクトンコアが歯科補綴治療における「被せ物の土台」として注目されている理由は、単に金属アレルギー対応であるという点にとどまりません。特に咬合力の強い臼歯部や、インプラントの上部構造に用いられるケースでは、その機能的メリットが他の素材よりも際立ちます。ここでは、歯質保護・力の分散・破折リスクの低減といった観点から、ペクトンコアの臨床的優位性を詳しく解説します。
ペクトンは非常に軽量でありながら強度が高く、咬合時の力を適度に吸収し、天然歯や隣接する補綴物に過剰なストレスを与えません。この「ショックアブソーバー機能」によって、歯根膜に近い弾性挙動を実現し、患者の咀嚼時の心地良さと生体との親和性を両立させています。
歯の土台として機能する際には、咬合力の方向や分布に応じて力を拡散させる必要があります。従来のメタルコアやセラミック系材料では、硬すぎることがかえって歯質にストレスを集中させ、歯根破折の原因になることもありました。ペクトンは、骨に近い弾性係数(約4GPa)を持つため、歯牙全体の構造と調和しやすく、被せ物全体の寿命を延ばす効果があると報告されています。
ペクトンコアは物理特性の面でも歯質に優しく、柔軟性があるため、補綴物と天然歯の動きの差による不調和を防ぐ役割も担います。加工面でも、CAD/CAMによる高精度な形成が可能な点も現代歯科技工において大きなメリットです。
臨床現場では、次のようなケースでペクトンコアの選択が推奨されています。
- 歯根の薄い歯や、過去に歯根破折を起こした症例
- 重度の咬合力が加わる大臼歯部への補綴
- インプラントの上部構造として、衝撃吸収性が求められるケース
- 金属を一切使いたくない審美治療にこだわる患者
- 過去に土台が破折・脱離しやすかった症例への再補綴
こうした症例において、ペクトンコアは「機能」と「安全性」を両立する新たな選択肢となりつつあります。これまでの金属系土台では実現が難しかった、「天然歯と調和した弾性」と「審美的な自然さ」を同時に実現できる点で、特に中長期的なメンテナンスが求められる患者にとって理想的です。
素材自体がアイボリーカラーで透明感を持っているため、上部にかぶせるジルコニアやセラミックの美しさを損なわない点も評価されています。特に光の透過性が重要視される前歯部や、歯肉の薄い患者において、補綴全体の美観を高める素材として非常に有利です。
歯科医院の補綴計画では、単なる被せ物の選定だけでなく、その基礎となる「コア(支台)」の材質選びが、最終的な治療成果と長期的な満足度を大きく左右します。ペクトンコアは、その設計思想からして、現代の補綴治療に必要な機能性と患者視点の快適性を両立する、先進的な素材であるといえます。
歯科医院と技工所の連携での加工技術
ペクトンを補綴治療において最大限に活用するには、素材の特性を正確に理解した上で、歯科医院と技工所の緊密な連携が不可欠です。特に支台構造や被せ物(土台)に用いる際には、CAD/CAMシステムによる加工精度と、技工士の経験が治療成果に直結します。
ペクトンはポリエーテルケトンケトン(PEKK)系の高機能ポリマーで、スイスのCendres+Métaux社によって開発された医療用マテリアルです。その最大の特徴は、金属に匹敵する強度と、骨に近い弾性率を兼ね備えながら、加工性に優れている点です。これは、従来のジルコニアや金属では難しかった「精密で柔軟な設計」に大きく貢献しています。
技工所では、ペクトンブロックをミリングマシンにセットし、デジタルスキャンされた支台歯のデータに基づいて、精密な支台構造を削り出します。このプロセスは、従来の手作業によるワックスアップや鋳造に比べ、精度が高く、人的誤差も少ないのが特長です。
ここで、歯科医院と技工所の役割分担と加工フローを、簡潔に表にまとめます。
| 工程段階 | 歯科医院の役割 | 技工所の役割 |
| 診査・診断 | 患者の口腔内を診察、支台設計の必要性を判断 | ― |
| 印象採得または口腔内スキャニング | アナログ印象またはデジタルスキャナーで模型取得 | スキャンデータまたは模型を受領、設計準備開始 |
| デザイン | ―(または歯科医師と連携) | CADソフトで支台コアの設計を行う |
| 加工 | ― | CAMマシンによってペクトンブロックを高精度でミリング加工 |
| 試適・調整 | 支台の適合確認、場合によって咬合調整・研磨 | 必要に応じて再調整、最終仕上げ |
| 装着 | ペクトンコアを歯に装着、最終的な補綴物(クラウン等)と接合 | ― |
このように、ペクトンを活用した補綴治療では、高精度のCAD/CAM設計と、素材特性に適応した加工ノウハウが求められます。ペクトンは硬すぎず柔らかすぎず、ミリング時にバリが出にくいため、滑らかで光沢のある仕上がりが得やすく、審美性にも貢献します。
技工所ごとに取り扱えるペクトンのグレードや機器の種類も異なるため、歯科医院は連携する技工所がどのような加工設備を備えているか、どの素材に熟練しているかを把握する必要があります。たとえば、専用のグレードを扱える技工所では、より審美性を高めた設計が可能です。
一方で、歯科医院側も単にデータを送るだけでなく、患者の咬合特性や歯根の状態などの情報を詳細にフィードバックすることが重要です。この相互理解がなければ、せっかくの高性能素材も本来の力を発揮できません。
実際、次のようなトラブルが起こることがあります。
- 支台設計が曖昧で、咬合高径が不適切なコアが仕上がる
- ペクトンに不慣れな技工所でミリング中にブロックが破損
- 咬合力に合わない設計で、補綴物が短期間で脱落
このようなリスクを回避するためにも、事前の打ち合わせや、設計データの共有、症例ごとのレビュー体制が重要です。
技工所側ではペクトン専用のバーやCAMソフトの最適化が必要なため、初期投資がやや高額になるという声もあります。しかし、それ以上に「金属アレルギーのない支台構造」や「軽量かつ快適な補綴物」を求める患者ニーズが高まっており、医院の差別化ポイントとしても有効です。
このように、ペクトンコアを臨床で成功させるには、単なる素材知識では不十分であり、歯科医院と技工所が共に理解を深め、協力し合う姿勢が求められます。ペクトンの加工には「最新の設備」「技工士の技術力」「医院との密な連携」が三位一体となってこそ、最大限の機能美と信頼性が引き出されるのです。
まとめ
インプラント治療において、素材選びはその後の快適性や長期的な満足度に大きな影響を与える重要な要素です。従来の金属製マテリアルでは満たせなかった「柔軟性」「生体親和性」「審美性」などの課題に対して、ペクトンは新たな解決策を提供します。
ペクトンは医療分野で実績を持つ高性能ポリマーであり、人工関節など高い耐久性が求められる現場でも使用されてきた背景があります。骨に近い弾性特性により、噛み合わせ時の衝撃を吸収しやすく、周囲の歯や骨への負担を最小限に抑える効果も期待できます。ショックアブソーバー機能に優れ、咬合力を分散できる点でも非常に優秀な素材です。
見た目の美しさも大きな魅力です。金属特有の黒ずみや不透明さとは異なり、ペクトンはアイボリー調の自然な色合いを持ち、セラミックの被せ物とも調和しやすく、前歯などの審美領域にも違和感なく使用できます。透明感と加工性の高さが両立している点も、技工所や歯科医院から支持を集める理由の一つです。
金属アレルギーの心配がない非金属素材であることも、安心して選ばれる理由のひとつです。金属由来のトラブルに悩まされたことがある方にとって、ペクトンは身体に優しく、ストレスの少ない補綴治療を実現できる素材となっています。
治療後の違和感や見た目に対する不満を抱えたくないなら、素材に目を向けることは大切です。後悔しない選択をするためにも、ペクトンという選択肢を知ることは、長く快適なインプラントライフを支える一歩になるかもしれません。
よくある質問
Q. インプラントにペクトンを使うと費用は高くなりますか?
A. ペクトンは高性能な医療用素材であり、チタンやジルコニアに比べて素材の加工や技工の手間がかかるため、土台や被せ物にペクトンを選んだ場合は一部で追加費用が発生するケースがあります。ただし、その分だけ金属アレルギーのリスクを軽減し、審美性の高い仕上がりが実現できることが特徴です。費用対効果のバランスや長期的なトラブル回避を考えると、ペクトンは価格以上のメリットをもたらす選択肢といえるでしょう。
Q. ペクトンとファイバーコアはどう違うのですか?
A. ペクトンはPEKKTON ivoryなどの高グレードなマテリアルで、衝撃吸収性と生体親和性に優れたショックアブソーバー機能を持ちます。一方ファイバーコアはガラス繊維を含む強化プラスチックで、強度はあるものの吸収性や生体との適合性の面ではペクトンに劣るとされます。特にインプラントの補綴土台として使用する際、咬合力の分散や補綴の安定性を重視するなら、ペクトンの方がより高い効果を発揮します。
Q. ペクトンを使うと見た目はどれくらい自然になりますか?
A. ペクトンはアイボリー色をベースとした自然な色調を持ち、ジルコニアやセラミッククラウンとの色合わせがしやすいのが特徴です。金属を使ったアバットメントのように、歯肉から金属色が透ける心配がなく、審美性の高い仕上がりを求める前歯部でも違和感なく調和します。透明感のあるセラミックと組み合わせることで、天然歯に近い自然な外観が得られ、患者満足度の向上にもつながります。
Q. ペクトンはどのくらいの期間使える素材ですか?
A. 医療分野ではペクトンが人工関節や脊椎インプラントなどに利用されてきた実績があり、長期間の物理的強度と安定性が確認されています。歯科補綴においても、咬合力に対して柔軟に対応できる特性から、長期的な破折リスクや骨吸収の抑制につながるとされます。定期的なメンテナンスと適切な咬合設計を行えば、インプラント治療全体の耐久性を高める素材として、ペクトンは非常に優秀な選択肢です。
医院概要
医院名・・・海岸歯科室 CHIBA STATION
所在地・・・〒260-0031 千葉県千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉6F
電話番号・・・0120-087-318


